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第25回 アジア知的障害者オンライン会議 報告

第25回 アジア知的障害者オンライン会議 報告

2年に一度開催されるアジア会議、コロナ禍でありながら主催国フィリピンの多大なるご尽力のもと、2021年11月15日〜18日にて初めてオンラインで開催された。

加盟国が持ちまわりで主催するこの大会、日本も1975年第2回大会と2003年第16回大会を主催して各国の仲間を日本に招いた。日本大会のときに大切にしたことは「当事者が発表すること」である。その理念は今でも引き継がれており、今回も日本から3名の当事者が、日本でどのような生活を送っているのかをそれぞれに世界へ向けて発信した。発表者3名は事前にプレゼンテーションを録画し、働いている姿や趣味などの写真も交えてスライドショーを作成するという手のこりようで、とても見応えがあったと各所からお声がけ頂いた。

今回はオンライン開催ということで、当事者が所属する法人の仲間たちも応援にかけつけることができた。発表が始まるまでに時間があったため、せっかくだからと応援部隊は自己紹介を練習、英語に触れる機会があまりない中で「マイネームイズ (名字)、 (名前)」というたった一言のディレクションだけで、普段言語でのコミュニケーションをあまりとらない方々も堂々と自己紹介したことにはとても驚いた。さらにせっかくだからと、質疑応答中に自己紹介だけさせて頂けないかとお願いしたところご快諾、応援部隊も世界の舞台を踏むことができた。

筆者がアジア会議に事務局兼通訳として参加するのは、前回のネパール大会に続き2回目である。見通しをもって行動したい日本チームと、遅れることが当たり前というアジア諸国の文化の違いには毎回頭を悩まされる。これぞ多様性の極みと思いながらも、そのなかでお互いを尊重しながら折り合いをつけていくことが最早醍醐味のひとつであると感じるようになった。そしてそのように突き進んだ先には、世界で発表するという一生思い出に残る何にも変えがたい経験が待っている。2回目の参加となる今回も、機会を待つのではなく生み出していくことの大切さと、声をあげれば生み出せるのだということを経験させて頂く貴重な機会となった。日本大会が開催された時に、当事者発表の機会を生み出した先代の皆さまへの感謝と尊敬を覚える。

次回は2023年11月、次の開催国はマカオである。次は現地で、これまで出会った仲間や新しい仲間に出会えると良いなと切に願う。またこの世界で発表する貴重な機会、より多くの日本の皆さんにもぜひ体験して頂きたいと改めて思いながら第25回大会も無事幕を閉じた。