国際事業

アジア知的障害連盟

アジア知的障害連盟の歴史

今から半世紀ほど昔、1973年、フィリピンのマニラにアジア諸国の知的障害関係者が集まって会議を持ちました。20か国から420人が参加し、日本人参加者は12人でした。この会議で、アジア精神薄弱連盟(アジア知的障害連盟(AFID))が設立されました。一国一団体が会員となり、会員国持ち回りで2年に一度研究大会を開催することなどが決められました。

アジア知的障害会議

現在、13か国の加盟国からなるアジア知的障害連盟(AFID)が隔年で開催している会議です。1973年からスタートし、加盟国の持ち回りで2年に1度アジアの国で開催しています。会議期間中は基調講演、全体会、分科会、討論会、知的障害者のための文化的セッション、交流パーティー、スタデイツアーなど様々なプログラムが行われます。1975年に日本で開催することになり、日本の関係者は知的障害関係の4つの団体を一つにまとめることが求められました。こうして社団法人日本精神薄弱福祉連盟(現・公益社団法人日本発達障害連盟)が結成されました。1975年、第2回アジア知的障害会議が東京で、21か国575人の参加を得て、「精神薄弱者の権利」をテーマに開催されました。そして会員国を一巡した2003年、第16回会議が日本のつくばで開催され、「エンパワメントと完全参加」をテーマに世界各地から882名が集いました。開会式での皇太子ご夫妻(現・天皇皇后両陛下)のご挨拶に、当時としては画期的な「共に学び共に育つ」という文言を入れていただくと共に、内外から参加した多くの障害当事者の皆さんとも交流していただきました。この大会は、障害者本人が自分の生活や仕事について発表するなど、本人参加というこの会議の流れの発端となりました。その後も日本の障害児全員就学や就労支援の取り組みがアジア諸国に影響を与えています。一方、フィリピンや台湾のインクルージョンの取り組みや、韓国のIT活用の教育実践などから多くを学ぶ機会となっています。

星槎賞について

2007 年から、アジア知的障害連盟のアジアリソースセンタの活動の一つとして、Star RaftAward( 星槎賞) の授与が始まりました。StarRaft Award(星槎賞)は、日本の星槎グループ会長宮澤保夫氏の寄付によって始まりました。星槎(StarRaft)とは、星の「いかだ」を意味します。「海の中から現れた『いかだ』が天空を旅した」という伝説にもつながります。いかだは、長さや太さが異なる木を、
強いロープで結び、大きな船となります。星槎賞もAFID の加盟国・地域の、インクルーシブで多様性を尊重した優れた3 つの活動に対して、アジア知的障害会議の開会式で授与されています(賞金10 万円と副賞の楯が授与されます)。
また、星槎賞の名称は2017 年より、アジア地域において知的障害がある人たちの教育にご尽力された、初代星槎大学学長である故山口薫先生のお名前を加えて、薫・星槎賞(Kaoru Star Raft Award)に変更されました。

アジア知的障害会議では、Kaoru Star RaftAward(薫・星槎賞)の授賞だけではなく、専門家からの学術的な発表もありますし、知的障害当事者の発表や、加盟国・地域の知的障害教育や福祉の状況報告(Country Report)、ホスト国の知的障害関連の施設見学や、文化の夕べ、さようならパーティ(Farewell Party)といった、さまざまなプログラムがあります。海外に行くことの楽しみだけではなく、海外の方たちとの交流は、とても思い出に残るものとなります。

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