教室からも福祉からも見落とされる知的ボーダーの人たち
著者 | 古荘純一 |
---|---|
判型 | A5判 |
ページ数 | 160頁 |
定価 | 定価1700円(本体1700円+税) |
企画・発行 | 合同出版 |
内容紹介
境界知能に該当する人は日本人口の約14%と推測されています。これだけ多くの人が該当する可能性がありながら、境界知能は医療でも教育でも見過ごされてきました。事例をもとに境界知能について詳しく解説します。
目次
序章 最新脳科学が解明した『子どもの脳を壊す』親の一言
第1章 境界知能とは
1境界知能の概念
2知能指数(IQ)とはなにか
3 知的能力障害という精神科診断名
4 青年期以降は軽度知的障害の人と同じ困難さがある
5 ボーダーという用語
第2章 境界知能:乳幼児期
1 発達指数による知的能力の評価
2 乳幼児期の境界知能
3 発達をさまざまな角度から評価する
4 5歳未満は暫定診断
5 境界知能の要因
■症例1 7歳小学1年生Aさん
■症例2 5歳の男の子Bさん
第3章 小学・中学生の時期
1 学校で支援が必要な対象として調査が行われていない
2 その場をやりすごすことで精一杯
3 学校での対応に限界がある
4 二次合併症が多い
■症例3 不登校になって支援されたCさん
■症例4 学校に頼らずに、放課後に学習支援をしたDさん
第4章 青年期、高校以降
■症例5 進学先に悩むEさん
1 中学を卒業時に進学先が決まらない
2 高校での勉強についていけない、次の進路の相談ができない
3 高校卒業後、就労の猶予期間として進学
4 障害者雇用と一般雇用の狭間で就労には不利になる
5 二次障害が雇用をさらに難しくする
6 雇用が決まらないと家族の不安が増強する
第5章 境界知能の子どもに必要な支援
1 早期支援を受けたケースと受けられなかったケースの比較
■症例6 早期から全面的にフォローする家族がいるFさん19歳
■症例7 学校に通うだけになってしまったGさん22歳男性
2 境界知能の人が身近にいることを知る
3 社会の理解の現況とこれからの課題
4 臨床家や支援者からなぜ見落とされてきたのか
5 支援を必要とする境界知能の人
6 発達障害と併存する場合の対応
7 知的障害の人に漏れのない支援を
8 診断、評価、支援ができる人材を育成すること
9 教育のユニバーサル化
10 教育方法の改善と教員の意識改革
11 社会の方が歩みよる
第6章 精神医学の知的障害診断との関連
1 偏見を生まない用語に
2 アメリカ知的・発達障害協会の知的障害の概念
3 2つの精神医学の診断概念
4 知的障害で支援を受けていない人もいる
第7章 発達障害との併存
1 発達障害の定義
2 発達障害のタイプ
3 知的障害と発達障害
4 顕在化しにくい発達障害
5 発達障害の疫学(割合)
6 発達障害の人の多様性
7 発達障害の人のIQ
8 境界知能と発達障害の併存(重なり合い)
9 二次合併症の多さ
10 発達障害と境界知能の併存
11 MBDという概念
保護者からのよくある質問
著者情報
●古荘純一(ふるしょう・じゅんいち)
青山学院大学教育人間科学部教育学科教授。小児科医、小児精神科医、医学博士。昭和大学医学部卒、同大学院修了。昭和大学医学部小児科学教室講師を経て現職。小児精神医学、小児神経学、てんかん学などが専門。発達障害、トラウマケア、虐待、自己肯定感などの研究を続けながら、教職・保育士などへの講演も。
主な著書・監修書に『自己肯定感で子どもが伸びる―12歳までの心と脳の育て方』(ダイヤモンド社)、『日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか 児童精神科医の現場報告』(光文社新書)、『DCD 発達性協調運動障害 不器用すぎる子どもを支えるヒント』(講談社)など。